動詞が大切な詳しい理由

質問をするのは So-net の森さんです。

So-net の
森さん
Kelly 先生、Plain English が使えるようになるには何故、基本動詞の習得が大事なのでしょうか?

Kelly
私は日本人が Plain English 「明瞭な英語」を実践するためには、米国人が学習する方法にもうひと工夫必要だと考えます。というのは日本人の場合、日本語という全く違う言語形態から英語にするからです。

工夫とは?

Kelly
それは1.「情報の絞り込み」、2.「語句の選択」です。1.は「日本語で言いたいことの真の意味を咀嚼して必要な情報のみを、英語への転換をすることです。」2.は「日本語の語句の意味範囲と英語の単語の意味の範疇の違いを知り、日本語の意味に合う語を選択する」ことです。この2点を具体的に実践するために手助けとなるのが "Kelly's 10 Rules of Plain English" です。
  Kelly's 10 Rules of Plain English
 1. Prefer the short word to the long.
   (長い単語より短い単語を)
 2. Prefer the familiar word to the fancy.
   (カッコいい凝った単語より慣れ親しんだ単語を)
 3. Prefer the specific word to the abstract.
   (抽象的な単語より具体的なものを)
 4. Use no more words than necessary to make your meaning clear.
   (よけいな単語は使わない)
 5. Use the active voice whenever possible.
   (できるだけ能動態を使う)
 6. Use verbs. Put verbs in action.  
   (動詞を生かす)
 7. When possible, express even a negative in positive form.  
   (できるだけ否定形をさける)
 8. Put one piece of information in one sentence.  
   (ひとつの文にはひとつの情報を)
 9. Put outline first and then details or specifics.
   (概論をのべてから詳細にはいる)
10. State cause and effect.
   (原因・結果をはっきり述べる)

Kelly
Plain English Lite「動詞編」は "Kelly's 10 Rules of Plain English" の 6. Use verbs. Put verbs in action.「動詞を生かす」を徹底的に学ぶためのプログラムです。

今、米国で売れている映画、本などをみても、脚本の良し悪しや内容は別にしても、何が面白さの決め手かというと「動詞の効きかた」に関わっていると言っても言い過ぎではありません。というのは、英語では、品詞の中で「動詞」が一番大事だからです。明瞭度の高い英文、説得力のある英語は一般動詞、それも誰でも知っているような基本動詞を活用することによりあなたのものに出来ます。"The verb gives life to any sentence." です。人気の高いホームページも例外なく、グラフィックが面白いだけでなく、使われている英語も簡潔明瞭です。


動詞がとにかく大切なのですね。

Kelly
そうです。論より証拠、まず次の日本語、「全品売り尽くし」を英語にしてみましょう。森さんお願いします。

"All the goods are sold out." かなー?「売り切れ」ということなので、"sold out" を用いて、"All the goods are sold out." としたのですが。ケリー先生違っていますか?

Kelly
これでは今の状態として品物全部が売り切れていると述べているだけで、日本語の「全品売り尽くし」という意味は全く表現されていません。日本語の「全品売り尽くし」というのは、今ここにあるものを全部売ってしまう!という売り手側の決意が入っています。つまり「全品売り尽くし」は「ここにあるもの全部なくなってしまえ。えいやー」という感じです。そうするとここで一番大事な語は「全品」ですから、それを主語にもってきます。英語の文構造では主語に何をもってくるかで意味が決まってしまうからです。そして次に売り手の気持ちを助動詞で表します。英語の助動詞は話者の気持ちを表すのです。最後に一番大事な動詞ですが、誰でも知っている "go" を使います。

えっ!"go" ですか?

Kelly
そうです。森さんが中学で学ばれた "go" ですよ。 "go" の基本概念は、 "to move along, to move away from" で、「話者の頭の中にある起点から遠ざかっていく動き、進行している様子」を示します。「行く」は場所など到達点が示されている場合の一つの訳例にすぎません。到達点を示す言葉がなければその「動き」には制限がないことになります。つまり「物がなくなる」、人ならば「死ぬ」ことも表します。 
以上を総合すると「全品売り尽くし」は"Everything must go." になります。大切なのは、このような場合"go" だけがこの感じを表すということです。他の動詞ではダメなのです。

なるほど!

Kelly
笑えない笑い話があります。断崖で日本人の観光客が思い詰めた顔をしたアメリカ人の男性に出合いました。この男が次のように言いました。"I have decided to go."
日本人の観光客は尋ねかえしました。"Where are you going?"
この男性は「私は死ぬことにした」と言ったわけです。 "go" はどこまでも果てしのない「動き」なので、自殺をするときにに使うわけです。

僕だっら "I'm going to die." と言いますが、違うのでしょうか?

Kelly
この場合 "die" は用いません。 "die" とは客観的に生物が死に至ることを示すからです。

う〜ん。確かに簡単な動詞ほど日本人にはよく意味が分からない場合が多いですね。

Kelly
動詞力がアップということは英語でより相手にアピールする力がつくということです。説得力のある英語が身につくので、プレゼンでも有利です。森さん、お疲れのところ恐縮ですが、次の日本語を英語にしていただけますか。「今日の議題ははどうしたら英語力が改善されるかということです。」

"Today's topic is about the improvement of your English.

Kelly
これでも意味はわかりますが、実際に話すのは森さんです。英語では幼児の頃から、"I message" を、自分の意志を伝えるために使うコミュニケーションとして教えます。話す内容をより明確に伝えるためには、主語を "I" にして動詞を活用してください。同じアイディアでも、主語を"I" で始めて、動詞を次のように使うことによってもっと生き生きと森さんの意図が相手に伝わります。
"Today, I would like to discuss how to improve your English. " となります。

確かにインパクトが違いますね。でも学校では「本日の議題は」というと、"Today's topic is 〜" と学んだんですよ。

Kelly
そうです。学校英語では「本日の議題は」というと一対一の対応をさせようと、"Today's topic is 〜" を持ってきますが、日本語と英語はもともと一対一の対応などしていないわけで、文の構造でも一致するわけがないのです。たとえ日本語が無生物主語(「今日の議題は...」)でも英語では "personal reference"、「人」を主語にもってきてください。
このことを実践するために必要なのが基本動詞の概念のマスターなのです。基本動詞を使いこなせるようになると飛躍的にあなたのコミュニケーション力は上がります。

Kelly先生、どうもありがとうございました。何だか僕でも英語が出来るようになれる気がしてきました。

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