現在形/進行形


基本

それではまず進行形と普通の現在形の違いについて説明しましょう。

次の2つの文を見てください。

a) John works hard.
b) John is working hard.

この2つは一体どのように意味が違うのでしょう。

2つとも見かけの時制は現在ですが、この2つは "perspective"、つまり物の見方が違います

a) は "John" の人となり、つまり "John is a hard worker." と言っているのと同じです。

b) は今の "John" の様子を述べているので、"John" の人となりではありません。

つまり、時間的な幅で見ると、現在形は "be 〜ing" 形と比べるとより長い "time span" で物ごとを述べているのです。言い換えれば普遍的とも言えます。

それに対して "be 〜ing" 形は "temporary"、つまりある一時の現象として物ごとを述べる場合に使います。

この2つの文も見てください。

a) I live in Tokyo.
b) I am living in Tokyo.

a) のほうは「私」がずっと東京の住人であること、つまり "a permanent resident" であるという意味です。

b) のほうは,「私」の本当の家はどこか他にあって、たまたま転勤などで一時的に2〜3年東京に住んでいるか、あるいは今までは他の所に居たのが今年から引っ越してきて住み始めたばかりという意味のどちらかになります。

いずれにしても "be 〜ing" のほうは "temporary" な意味になるわけです。

日本の方々は「東京にずっと住んでいます」という日本文を見ると、すぐ現在完了形を使いたくなるようですが、もし文のアイディアが "permanent resident" であるということなら、現在完了などは用いずに、単に現在形で表現してください。現在完了を使うと別のニュアンスもついてしまいます。(B参照)


進行形に出来る動詞は動作を示している

それでは一時的なことを表す場合に何でもかんでも "be 〜ing" にできるかというと、そうもいきません。この "be 〜ing" については2つの面から制限があります。

ひとつは動詞に関する制限です。

英語には動詞の概念が2つあります。動作そのものを表す動詞 (activity verbs) と初めから状態を表している動詞 (nonactivity verbs) の2つです。

この2種類の動詞のうち、初めから状態を表している動詞は普通 "be 〜ing" では用いません。次の文を見て下さい。

× I am knowing Kelly Itoh.

この文の動詞 "know" は "knowledge" を表しますので、動作ではなく初めから状態を表しています。したがって、このように "be 〜ing" の形では用いません。正しくは、

○ I know Kelly Itoh.

となります。

いくつか "nonactivity verbs" の例を掲げておきます。

like
matter
want
depend
belong
have
resemble
differ
understand
seem

ただし、ここでもうひとつ大事なのは、動詞そのものというより意味によって、ある動詞が "activity verb" になったり "nonactivity verb" になったりするということです。

例えば上の "have" は "possession" (所有) を表す場合は "nonactivity verb" なので、

× I am having a book.

とは言いません。

しかし "have" は "consume"、つまり「食べる」とか「飲む」とかを表すこともあります。

○ I am having lunch.

○ I am having coffee.

この場合 "have" は "activity verb" としての機能を果たしているので "be 〜ing" でも使うわけです。


進行形がとれる主語は動作を起こせるもの

もうひとつの制限は文の主語に関してです。

英語では、主語について動作を起こすもの (inanimate subject) という見方をします。具体的には "animate subject" には "living creatures"、つまり人間を含めた生物があたります。その他は普通 "inanimate subject" と見なします。

次の文章を見てください。

× Being a teacher is demanding patience and hard work.

この場合,「先生であること」はひとつのアイディアですから "animate" ではありません。また "demand" もこの場合は "need" という意味ですから "activity verb" ではありません。

以上の2つの理由からこの文は正しくは、

○ Being a teacher demands patience and hard work.

となります。


発信型英語

では、現在形を使えばすっきり表現できる例を見てみましょう。

例題 意味のわからない語に出会ったら、私はいつも辞書をひくことにしている。
受験英語 When I see a word which I don't nuderstand, I make it a rule to look up the word in the dictionaty.

「〜することにしている」という日本語を "make it a rule to〜" を使って表していますが、現在形を用いれば普遍的な習慣を表すことができるので、"make it a rule to〜" を使う必要はありません。

日本の学校では「〜することにしている」というのを機械的に "make it a rule to〜" を使ってパターン化して覚えさせられるようですが、実際の場面ではほとんど使わない表現です。

また、前半の部分を見てみましょう。

何かに「出くわす」というような場合は "see" ではなく "come across" を使うほうがよいでしょう。なぜなら、"see" を使うと「理解する」という意味まで含むことがあるからです。

次に、関係代名詞の目的格というのは普通ほとんど省略されますので、"which" は不要です。また、関係代名詞を使わなくても、"a new word" や "an unknown word" にすることもできます。

このような発信型英語で表現できます。

例題 意味のわからない語に出会ったら、私はいつも辞書をひくことにしている。
発信型英語1 When I come across a new word, I look up the word in a dictionary.
発信型英語2 When I come across an unknown word, I look up the word in a dictionary.
発信型英語3 When I come across a word I don't understand, I look up the word in a dictionary.


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